かもめ  Die Moewe  The Seagull


世界初演
2002年6月16日  ハンブルク  ハンブルク・バレエ

音楽
ドミトリー・ショスタコーヴィチ、 エヴェリン・グレニー、 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー、 アレクサンドル・スクリャービン

振付・舞台美術・衣裳
ジョン・ノイマイヤー

主な配役

イリーナ・ニコラーエヴナ、アルカーディナ
プリマバレリーナ
 アンナ・ポリカルポヴァ
コンスタンチン(コースチャ)・カヴリーロヴィチ・トリプーレフ
その息子
 イヴァン・ウルバン
(イリ・ブベニチェクに振付けられた)
ピョートル・ニコラーエヴィチ・ソーリン
アルカーディナの兄
 ロイド・リギンズ
ボリス・アレクセーエヴィチ・トリゴーリン
振付家
 オットー・ブベニチェク
ニーナ・ミハイロヴナ・ザレーチヤナ
若い娘
 へザー・ユルゲンセン
エフゲーニイ・セルゲーエヴィチ・ドールン
医師
 セバスティアン・ティル
セミョーン・セミョーノヴィチ・メドヴェーヂェンコ
教師
 ピーター・ディングル
イリヤー・アファーナシエヴィチ・シャムラーエフ
ソーリン家の支配人

 ヤロスラフ・イヴァネンコ

ポリーナ・アンドレーエヴナ
その妻
  ニウルカ・モレド
マーシャ
その娘
 ジョエル・ブーローニュ


What does it mean to be in love ?
What does it mean to be an artist ?
What does it mean to be an artist, who is in love ?
What does it mean to be someone who loves to be an artist ?
- J. N. -

恋をすることの意味は?
芸術家であることの意味は?
恋する芸術家であることの意味は?
芸術家になりたいと切望している人間である意味は?


あらすじ

第一幕


田舎で

コースチャはピョートル・ソーリン伯父の敷地の庭に舞台を作った。
近所の地主の娘、ニーナが彼の創作バレエ“かもめの魂”で主役を踊るためにやって来る。
コースチャはニーナを愛し、ニーナもコースチャを愛している。

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
ピアノ協奏曲第二番 ヘ長調 Op.102 (1957年)

第二楽章



コースチャの母で、有名なプリマバレリーナのイリーナ・アルカーディナが恋人の振付家、ボリス・トリゴーリンと一緒に到着する。
コースチャのバレエ作品のそのほかの観客は、ソーリンの地所の支配人であるイリヤー・シャムラーエフ、その妻のポリーナと娘のマーシャ、
医師のドールン博士、村の学校の教師であるセミョーン・メドヴェーヂェンコである。
メドヴェーヂェンコはマーシャを愛している。
マーシャはコースチャを、コースチャはニーナを愛している。
ニーナはトリゴーリンに恋している。
トリゴーリンはアルカーディナを愛しているが、ニーナにも魅了されている。
アルカーディナはトリゴーリンを愛しており、ポリーナはドールン医師を愛している。

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第十五番 イ長調 Op.141
 (1971年)

第一楽章



コースチャのダンス作品“かもめの魂”の上演

エヴェリン・グレニー
シャドウ・ビハインド・ジ・アイアン・サン(2000年)から



湖を渡って音楽が聞こえ、アルカーディナは自分が踊った有名な役を思い出す。

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
四季 Op.37a (1875/76年)
No.12 12月


アルカーディナは息子のコースチャと話をする。
トリゴーリンはニーナを教える。

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第十五番 イ長調 Op.141 (1971年)
第二楽章


カードゲームや遊興

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第十五番 イ長調 Op.141
 (1971年)

第三楽章


嫉妬と決意
コースチャの夢のダンス

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第十五番 イ長調 Op.141
 (1971年)

第四楽章



第二幕


モスクワで

レヴューの劇場:ニーナはコーラスラインの一員になっている。

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
オペレッタ“モスクワよ、チェリョムーシカよ” Op.105(1958年)
アンドリュー・コーナル編集 オペレッタ組曲より  No.1 モスクワへの遠乗り


ニーナは心変わりしたトリゴーリンに会う − レヴューは続く

ドミトリー・ショスタコーヴィチ

オペレッタ“モスクワよ、チェリョムーシカよ” Op.105
アンドリュー・コーナル編集 オペレッタ組曲より  No.2 ワルツ


コースチャのスケッチブック − 夢のダンス

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
ピアノ三重奏曲第二番 ホ短調 Op.67 (1944年)
第三楽章 ラルゴ


ニーナのポルカ

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
バレエ組曲第一番 No.4 ポルカ(1949年)
(この作品には作品番号がついていない)


宮廷劇場でのトリゴーリンのバレエ“かもめの死”

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
オペレッタ“モスクワよ、チェリョムーシカよ” Op.105
アンドリュー・コーナル編集 オペレッタ組曲より  No.4 バレエ


マーシャはメドヴィエンコと結婚することにする

アレクサンドル・スクリャービン
ノクターン Op.9-2(1984年)


ニーナからコースチャへの手紙

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
弦楽四重奏曲第八番 ハ短調 Op.110a(1960年)
ルドルフ・バルシャイ編曲 第一楽章



秋の庭:ソーリンが気を失う

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
弦楽四重奏曲第八番 ハ短調 Op.110a(1960年)
ルドルフ・バルシャイ編曲 第二楽章



アルカーディナの来訪 − 悲しい結婚のお祝い

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
弦楽四重奏曲第八番 ハ短調 Op.110a(1960年)
ルドルフ・バルシャイ編曲 第三楽章



ニーナの登場 − ニーナの別れ

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
弦楽四重奏曲第八番 ハ短調 Op.110a(1960年)
ルドルフ・バルシャイ編曲 第四、五楽章


コースチャの夢のダンスの終焉

ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第十五番 イ長調 Op.141
 (1971年)

第四楽章より




チェーホフはシェイクスピア同様、登場人物を完璧に本当の人間らしく創り出したために、登場人物は作品を離れた空想の中でも生きている。チェーホフの言葉の背後にある感情的な人生を私はダンス化したのだ。私にとって“かもめ”の中心的なテーマとなり争点となったのは愛と芸術、もしくは芸術と愛の関係の発展であった。
ジョン・ノイマイヤー

“ちょっと書きとめとくんです。題材が浮んだものでね。ほんの短編の題材ですがね、湖のほとりに、ちょうどあなたみたいな若い娘が、子供の時から住んでいる。かもめのように湖が好きで、かもめのように自由で幸福だ。ところが、ふとやって来た男が、その娘を見て、退屈まぎれに、娘を破滅させてしまうーほら、このかもめのようにね。
ー “かもめ” 第二幕より  アントン・チェーホフ ー 中央公論社刊“チェーホフ全集” より(神西清 訳)
(J)